1MA 12/24(木) 1MB 12/17(木)
授業の目標
①免疫が過剰・不足した時の症状を説明できる。
②予防接種と血清療法の違いを説明できる。
重要な語句(P.はベストフィット生物基礎)
アレルギー(P.115)
…(花粉)、卵白、ダニなどの特定の抗原(アレルゲン)に対して、免疫反応が過剰に起こり、生体に(不都合)が生じる状態。
授業の内容
◎免疫が過剰に働くと、からだに害を及ぼす。
例)アレルギー
…花粉や食物などの特定の物質が抗原(アレルゲン)として作用する。
→抗原抗体反応により、くしゃみ・じんましんなどの症状が起こる。
→全身に起こる急性アレルギー反応 = アナフィラキシー
…ツベルクリン反応は細胞性免疫によるアレルギーを利用したもの。
❶弱毒化した結核菌(これが抗原になる)を注射
❷結核菌の記憶細胞がある場合、キラーT細胞として、結核菌に感染した細胞を攻撃する(これにより、皮膚が赤く腫れる)。=陽性
❸結核菌の記憶細胞がない場合、キラーT細胞が結核菌に感染した細胞を攻撃するまでに時間が掛かる(皮膚は赤く腫れない)。=陰性
◎免疫が働かなかったり、低下した状態を免疫不全という。
例)AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)
…HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がヘルパーT細胞に感染するのが原因。
→ヘルパーT細胞が機能しなくなり、獲得免疫が働かない。
→通常なら感染しないような弱い病原体に感染する(日和見感染)。
◎免疫の仕組みを応用して医療に役立てている。
①予防接種
…毒性を弱めた病原体(ワクチン)を接種する。
※ワクチンには、毒性を弱めただけで生きている生ワクチンと、殺して毒性をなくした不活化ワクチンがある。
→記憶細胞ができることにより、病原体の侵入時に備える。
②血清療法
…他の動物に病原体や毒素を接種し、抗体をつくらせる。
→抗体を含む血清を、感染した人に接種し、治療する。
Back Side Story Vol.29
血液検査の結果でドッキリした時の話
Vol.19で紹介したように、2010年の秋に僕は上顎骨骨折という大怪我をした結果、手術することになった。手術日程が決まり、入院のための準備をしていた僕のもとに電話がかかってきた。電話の主は主治医の先生だった。「この間の血液検査の結果なんですけど…HIVの陽性が出ているので、今日これから再検査に来てもらえますか?」陽性ということは…HIVに感染している?ご存知の通り、HIVの感染経路は3つある。しかし、輸血も薬物注射もしたことがなく、母親がHIV陽性でない僕が感染する経路は1つしかない。えっと…。
人生で何度目かのスーパーパニックに陥った僕だったが、とりあえず病院へ向かうことにした。病院で待っていた主治医がにこやかに告げた言葉は次のようなものだった。「いやね、椿さんの場合、3つある検査のうち、1つが『陰性ではないという疑いがある』んですよ。多分大丈夫だと思うんですけどね」どうやら、100%陽性が決定、というわけではないらしい。とりあえず血液を採り、サンプルは別の検査に回されることになった。結果が出るのは手術後数日してから、つまり、すぐには分からないということだった。「じゃあ、手術に向けて体調を整えておいてくださいね」主治医の笑顔に見送られ、僕は病院を後にした。
誰にも相談できないでいた。当時は彼女もいないし、家族は遠く離れている。いや、家族には言えなかった。よく病気の告知をするかしないかで悩む、という話を聞いたことはあったが、まさに僕はその逆パターンに陥っていたのだ。結果が出るまで心配させてもいけないし…きっと大丈夫だよ。いつものように根拠のない自信に頷きながら、僕はぼうっと部屋で考え事をしていた。
手術自体は無事に終わった。しかし、酸素吸入器をつけているせいで、やたらと苦しい。痰は飲み込まないように、と言われていたが、なかなかそうもいかない。そんな僕のところへ看護師さんが定期的にやって来ては、痰を掃除機みたいなもので吸い取っていってくれた。吸い取った後は口の周りを、キッチンペーパーの品質をもう少しよくしたような紙で拭き取ってくれる。拭き取った紙は何やら大きな段ボール箱の中へ投げ捨てているのを横目に見ながら、僕はうつらうつらと一夜を明かした。
その後は順調に回復していった。手術から数日経ったある日、回診に来た担当医の先生から救いの言葉を聞かされた。「あ、そうそう。血液検査の結果ですけど、陰性でした」僕はとりあえず安心した。そして、その直後、看病してくれていた母親から衝撃の一言を聞かされた。「あんた、HIVの陽性って言われたんやって。大丈夫でよかったなあ」僕が一生懸命隠していた事実は、担当医から母親へ見事に筒抜けだったのだ。これってプライバシーの観点からはどうなんだろう、とちょっと思ったりもしていたけれど、まあ、結果オーライということで特には気にしなかった。
その時だ。僕は病室からあるものがなくなっているのに気付いた。そう、僕の身の回りのことをしたときに出るゴミのたぐいをポイポイ捨てていた大きな段ボール箱がないのだ。その瞬間、僕は悟った。担当医は「多分大丈夫でしょう」と言いながら、検査結果が出るまでは何があるか分からないので、僕の血液(もしくは体液)がついたものは、「特別なもの」扱いされていたのだ。全身から力が抜けていくとはこういうことだと思った日だった。