1MA 12/10(木) 1MB 12/10(木)
授業の目標
①細胞性免疫の仕組みを説明できる。
重要な語句(P.はベストフィット生物基礎)
拒絶反応(P.117)
…(移植)された他人の臓器が定着せずに脱落する現象。(キラーT)細胞による移植臓器への攻撃・排除がその原因である。
授業の内容(ただいま準備中)
◎体内の細胞は、以下の場合、非自己の細胞とみなされる
→①細菌やウイルスに感染する …感染細胞
→②遺伝子が突然変異を起こす …がん細胞
…非自己の細胞は、生体の恒常性維持に不利
→細胞ごと破壊する
…NK細胞による破壊 …自然免疫
…キラーT細胞による破壊 …(獲得免疫の)細胞性免疫
◎細胞性免疫は、多くの免疫担当細胞によって成立している。
①樹状細胞が抗原を食作用で分解。
※ここでいう抗原は、細菌やウイルス、もしくはそれらに感染した感染細胞の断片を指す。
②樹状細胞が抗原の情報を細胞表面に提示(=抗原提示)。
③ヘルパーT細胞が提示された抗原の情報を認識。
④キラーT細胞がヘルパーT細胞から分泌されたインターロイキンによって刺激され、活性化される。
⑤活性化されたキラーT細胞が増殖する。
⑥キラーT細胞は、感染細胞やがん細胞を直接攻撃し、破壊する。
◎キラーT細胞の一部は記憶細胞として体内にとどまる。
→抗原の再侵入時には、キラーT細胞として、以前よりも強力に非自己の細胞を攻撃する。
◎臓器移植において、移植された臓器は非自己の細胞とみなされ、キラーT細胞による攻撃を受ける。
→移植臓器が定着せず、脱落することもある(拒絶反応)。
※拒絶反応を起こさないようにするため、移植時には免疫抑制剤の投与が行われる。
Back Side Story Vol.28
「自己」と「非自己」を区別するHLAのお話
獲得免疫では「特異性」がキーワードになる。特に、細胞性免疫では自己と非自己を識別することが重要になってくる。自分の体を構成している細胞は攻撃せず、感染細胞だけを攻撃することが求められるからだ。自己・非自己の識別は細胞膜の表面に存在するタンパク質によって行われる。これをMHC抗原(Major Histocompatibility Complex)という。
ヒトの場合、MHC抗原に当たるのがHLA(ヒト白血球型抗原 Human Leucocyte Antigen)である。HLAは第6染色体上の6対の遺伝子によって決まる。図28-1は、HLA遺伝子を模式的に示したものである。それぞれの遺伝子(A、C、B、DR、DQ、DP)は多様な種類があり、その組み合わせは膨大なものになる。計算してみると、1本の染色体当り
26×10×55×24×9×6=18,532,800(種類)
となる。染色体は父方由来のものと母方由来のものの2本あるため、
18,532,800×18,532,800=343,464,675,840,000(種類)
となる。数字だけだと桁数が多すぎて分かりにくいが、343兆と書けば想像がつくだろうか。現在の世界の人口は72億人と言われている。まず他人と一致することはあり得ない。だからこそ、HLAが違う細胞=非自己の細胞とみなし、攻撃を仕掛ければいいのだ。
免疫という点からはHLAの多様性は実に素晴らしい。ただし、臓器移植となれば話は別だ。他人の臓器はHLAが違うため、キラーT細胞は移植された臓器を攻撃してしまう。これが拒絶反応である。拒絶反応が起こらないようにするためにはHLAが一致する必要がある。他人同士であればまず一致することのないHLAだが、家族であれば可能性はある。
右図は親子間でのHLAの組み合わせを模式的に示した図である。父と母はもともと他人同士なので、HLAは一致していないものとする。子には父から1本、母から1本染色体が伝わる。したがって、子はアとイのいずれかから1つ、ウとエのいずれかから1つ染色体を持つことになる。組合せは、2×2=4(通り)となる。つまり親子間では絶対に一致しないが、兄弟姉妹であれば一致する確率は25%ということになる。兄弟姉妹がいる人、もしもの時のために仲良くしておいた方がいいかも…なんてね。
図28-1 HLA遺伝子の多様性
図28-2
父親が染色体ア・イを持ち、母親が染色体ウ・エを持つ場合、この染色体の組み合わせは、
・アとウ
・アとエ
・イとウ
・イとエ
の4通りである。