26 異物から体を守る3つのシステム


1MA 12/3(木)  1MB 12/3(木)  

授業の目標

①病原体がからだに侵入する目的を説明できる。

②生体防御の3つのシステムを説明できる。


重要な語句(P.はベストフィット生物基礎)

免疫担当細胞(P.127)

…免疫に働く(樹状細胞)・マクロファージ)・好中球・(リンパ球などの細胞。

いずれも白血球)である。


授業の内容

◎細菌やウイルスは、生体内の細胞への侵入を試みている。

…細菌は宿主細胞に含まれる有機物が必要

…ウイルスは宿主細胞に含まれるDNA・有機物が必要

→細菌やウイルスに侵入される(感染する)ことで、細胞は正常に機能できなくなる。

図26-1 病原体の意図

細菌やウイルスは、生体内の細胞に侵入することで、初めて代謝や生殖を行うことができる。

細菌やウイルスに侵入された細胞は、正常な機能を失うため、異常を示す。

◎生体は、異物の侵入を防ぐシステムを持っている。

物理的・化学的防御「異物を体内に入れさせない」

異物の体内への侵入を防ぐ(皮膚、粘膜、血液凝固、涙、唾液など)

教科書P.92-図35参照

自然免疫「体内に入ってきた異物を排除する」

体液中に入ってきた異物を食作用などで排除

樹状細胞マクロファージ

がん細胞や感染細胞など異質な細胞を破壊

NK細胞

獲得免疫「体内に入ってきた異物を特異的に排除する」

侵入してきた異物に対して、特異的に働くリンパ球などの働きで排除

→体液中の異物を排除(体液性免疫

樹状細胞ヘルパーT細胞B細胞

→感染細胞を破壊(細胞性免疫)

樹状細胞ヘルパーT細胞キラ−T細胞



Back Side Story Vol.26

免疫力アップにはNK細胞の存在が欠かせないのです。

 この季節、テレビのCMでは風邪薬のPRが増え、ドラッグストアに行けばマスクの山ができている。山は白くなり始め、僕達の吐く息も白い。そんな低温下で暮らす僕達の体はどんどんと弱り、そこに目をつけた病原体が侵入を試みる。見事、病原体の侵入が成功すると、だいたいの場合、風邪をひいたり、感染症にかかるのだ。病原体の侵入を防ぐためには免疫力をつける必要がある、とよく言われるが、「免疫力」とはそもそも何なのだろうか?


 近年、免疫力を高める時に注目されているのが、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)だ。直訳すれば「生まれながらの殺し屋」と称されるこの細胞は、とにかく体内の異質な細胞を全て破壊する能力を持っている。細胞の破壊というと、イメージが湧きにくいが、おおよそ下図のような形で進行する。

 このように、感染細胞を破壊する細胞が他にないわけではない。後日の授業で紹介するキラ−T細胞もがん細胞や感染細胞を破壊するという点では同じだ。では、なぜNK細胞が注目されているのか?


 それは、NK細胞が「すべての感染細胞に作用できる」からである。キラ−T細胞の働きは強力ではあるものの、特異的にしか働けない、異物が体内に侵入してからしかつくられないという欠点がある。それに対して、NK細胞はその名の通り、生まれながらに誰もが持っており、どんな細胞に対しても攻撃できるという利点がある。だからこそ、NK細胞がしっかり働けるような体内環境を保つことが求められているのだ。


 体内でのNK細胞の働きは、様々な要因によって活性化される。睡眠時間をしっかり確保する、栄養をとる、という当然のものから、笑う、ストレスを溜めない、といったちょっと変わった活性化の方法もある。何よりこの冬に重要なのは、体を冷やさないことだ。暖かい格好をして、夜はしっかり寝る。そして、笑顔で過ごす。いわゆる「健康的だよね」という生活が、NK細胞の働きを高めてくれると考えられる。