1MA 10/29(木)予定 1MB 10/29(木)予定
授業の目標
①腎臓の構造を機能を踏まえて説明できる。②再吸収の仕組みを説明できる。
重要な語句(P.はベストフィット生物基礎)
原尿(P.118)
…(糸球体)を流れる血液が(ボーマンのう)にこし出されたあとのろ液。
再吸収(P.119)
…原尿が(細尿管)を通る時に、(水)・(グルコース)・アミノ酸・無機塩類などの有用成分が
毛細血管内に回収されること。
授業の内容
◎腎臓は背側に2個あり、3つの管が出ている。
①腎動脈…腎臓に入ってくる血管
②腎静脈…腎臓から出て行く血管。最も尿素が少ない。
③輸尿管…腎臓でつくられた尿をぼうこうへ送る管。
→腎臓の役割は大きく分けて2つある。
①尿素などの老廃物を尿として排出する。
②尿の濃度を調整して、体液の濃度を一定の範囲に保つ。
…恒常性の維持
例)体内の水分不足→尿量を減少させる。
体内の水分過剰→尿量を増加させる。
◎腎臓における尿生成はネフロン(腎単位)ごとに行われる。
…ネフロンは腎小体(糸球体+ボーマンのう)と細尿管で構成される。
…尿生成の過程は以下の通り。
①腎動脈から入った血液は糸球体からボーマンのうへろ過される。
→血球やタンパク質はろ過されない。(分子量が大きいため)
→ろ過された液体が原尿である。
【原尿=血液ー血球ータンパク質】
②原尿は細尿管・集合管を通る過程で有用成分が付近の毛細血管へ再吸収される。
→再吸収された後の残りが尿である。
|物質の再吸収率|
・水はほとんど(99%前後)が再吸収される。
→水の再吸収量を増減させて、尿の量が決まる。
・グルコースは100%再吸収される。
・無機塩類も多くは再吸収される。
・尿素は一部再吸収される。
【尿=原尿ー有用成分(グルコース・無機塩類等)】
③集合管を通過した尿は腎うへ集まり、輸尿管からぼうこうへ向かう。
Back Side Story Vol.21
検尿を毎年やらないといけない理由を語る
健康診断や、内科の病院を受診した際、必ず行われるのが尿検査だ。高校でも年に1回の尿検査が義務づけられているため、毎年4~5月に朝一番の尿を学校へ持ってくることになる。なかなか持ってこない生徒に対して、養護の百瀬先生が必死に持ってこいと呼びかけ続けるのも毎年の風物詩だ(笑)。では、尿検査では、一体何が分かるのだろうか?
通常の尿検査で調べられるのは、①蛋白(タンパク)、②糖、③潜血の3項目が多い。これらは、いずれも健康なヒトの尿には含まれない。尿検査では、採取された尿に試験紙を浸すことで、これらの物質が尿中に含まれるかを調べる。「陰性」(ーで書かれることもある)となっていれば、検出されなかったことを意味している。この場合、腎臓の機能には問題がないとされる。
ところが、時として「陽性」(+と書かれることもある)になる場合がある。これは、尿中に本来はないはずの物質が検出されたことを意味する。腎臓は、必要な物質は体内に留め、不要な物質を体外に排出するためになくてはならない器官だ。陽性となった場合、その機能のどこかに異常があると考えられる。腎機能の異常は、日常生活にも支障が出るため、早期発見・治療が必要となる。だからこそ、毎年のように検尿をやらないといけないのだ。
では、尿検査の3項目で陽性となった場合、どのような可能性があるのかをみてみよう。
①蛋白(タンパク)
通常、糸球体からボーマンのうへろ過される時に、タンパク質はほとんどろ過されない。わずかにボーマンのうへ入ってしまったタンパク質も、細尿管で再吸収されるので、尿中には含まれないのが普通だ。しかし、糸球体に異常があって多量のタンパク質 が原尿中に含まれることになると、細尿管での再吸収が間に合わずに、尿中で検出されることになる。
②糖
これは、糖尿病などの話題で聞いたことも多いだろう。糖とはグルコースのこと。
血液中に含まれるグルコースは、分子量が小さいため、すべてが糸球体でろ過される。しかし、細尿管を通過する際に100%が再吸収されるのが健康な状態だ。したがって、尿検査で糖の項目が「陽性」になれば、再吸収のしくみがうまく働いていないことが分かる。
もしくは、前述した糖尿病のように、血液中のグルコース量が多すぎる場合、細尿管の処理能力を超えて、すべてが再吸収されずに尿中に出てきてしまうこともある。
③潜血
尿中に赤血球が含まれてしまう状態が潜血だ。血液の色を赤くしているのが赤血球な ので、尿も赤くなるの?と思われがちだが、実際には肉眼では分からないレベルの赤血球が混ざっている場合が多い。したがって、尿の色が赤くないからと安心できるものでもないことが分かる。
今年提出が遅れてしまった人、ぜひ来年は自分のためにもお早めに。