右側の写真を見てほしい。(注: 画像は著作権の関係上、掲載していません。授業で紹介した画像はこちらから)
これはある折り紙作家が15cm×15cmの正方形の紙から折ったウミガメだ。作家の名前は西田シャトナー。1990年、大学時代に「惑星ピスタチオ」という劇団をつくり、演劇の可能性を追究し続けた脚本家・演出家でもある。最近では、少年チャンピオンに連載している「弱虫ペダル」という自転車マンガの舞台化に関わっていることでも有名だ。そんな彼が、昔から取り組んでいたのが、折り紙だった。
松工は違うけれども、長野県内の高校生の修学旅行先として一番多いのは沖縄だ。松工の研修旅行は必ず工場見学が入るが、いわゆる普通高校の修学旅行は、平和学習と文化学習をセットにして行われることが多い。したがって、事前に沖縄戦や基地問題について学習し、沖縄では平和セレモニーをやったりする。平和セレモニーといえばお約束のように登場するのが千羽鶴だ。僕も以前いた大町北高校では、修学旅行前になるとクラスで千羽分折ったりしていた。たまに「鶴の折り方なんか知らねえよ」という男子がいたりして、お互い教え合ったりしている姿は微笑ましかった。
さて、鶴の折り方はそれこそネットでも何でも調べれば、簡単に分かるが、ウミガメはどうだろうか?西田シャトナーは自身のTwitter(@Nshatner)で、
「鶴の折り方、忘れた」って人こそ、今折り紙をやるチャンスだ。忘れてていいんだ。自分の思う通り折るんだ。もし参考に本を見るなら、折り紙の本なんか見てはいけない。図鑑を開いて、鶴を見るんだ。その姿に向かって折るんだ。自分の心の中に浮かぶ鶴に向かって折ってもいい。それが折り紙なんだ。(2013/3/19ツイートより)
とつぶやいている。彼にとって、折り紙は見本通り折るものではなく、創造するものなのだ。だから、彼は自由に折ることに喜びを感じている。生物のからだの中でつくられる様々なタンパク質も同じだ。もちろん、現在はDNAの遺伝子を元につくられている。でも、もとはといえば、進化の過程で様々な試行錯誤を重ねて、今のカタチになったのだ。
どんな複雑な形をして、どんな複雑な生態を持つ生物も、もとはと言えば、ただ1個の細胞が、ただ分裂を繰り返て誕生する。折り紙で、僕が1枚折りにこだわるのは、その不思議さを体験したいからなのだ。折り紙の不思議さは、とても「生命の不思議さ」にかなわないけれども。でも片鱗はある。(2013/06/04ツイートより引用)
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