|No.29|ステーキが筋肉になる過程を考察する

 中学・高校時代、バドミントン部だった僕の愛読雑誌は当然、バドミントンマガジン(略してバドマガ!)だった。

バドミントンだけを扱った超マイナーなこの雑誌には、大会のレポートはもちろん、技術的なことやトレーニング理論なんかも掲載されている。当時、諸事情で自力で練習メニューを考えなければいけなかった僕にとって、バドマガはなくてはならない雑誌だった。

 

 ある月の特集に舛田圭太選手(高2にして、全日本総合第2位になったすごい選手。北京五輪にも出場している。現在はコーチ業)の食事メニューが掲載されていた。スポーツ選手たるもの、朝からしっかりご飯を食べ、昼食も多め、そして夕食には肉を食べよう、みたいなことが書いてあった。やはり、筋肉がつかなければ、スポーツ選手としては物足りない。筋肉の成分は知っての通り、タンパク質である。タンパク質自体はいろいろな食物に含まれているが、中でも肉が一番効率良く吸収できるようだ。

 

 問題はここからだ。例えばビーフステーキを食べたとして、本当にそれは筋肉になるのだろうか?ビーフステーキはもちろん、ウシという動物の筋肉だ。同じ筋肉ではあっても、やはりヒトとウシでは若干違う。もしも、牛肉がそのまま僕達の体内に取り込まれるとしたら、僕達はやがてウシになってしまうことになる。もし、マグロを食べたら?ダイズを食べたら?

 

 中学校の復習をしておこう。ヒトは基本的に口から食物を摂取し、その後、消化器で消化する。消化とは食物に含まれる分子量の大きな物質(炭水化物、脂肪、そしてタンパク質など)を体内に吸収できる分子量の小さな物質(グルコース、脂肪酸&グリセリン、そしてアミノ酸など)に分解する過程だ。したがって、牛肉に含まれるウシのタンパク質はアミノ酸に分解される。アミノ酸はどんな生物でも共通であるから、ウシ由来のアミノ酸を材料としてヒト用のタンパク質を合成するのである。一見、面倒くさいが、植物と違って、自力でアミノ酸をつくれない動物は、右図のような過程で自分専用のタンパク質をつくる必要があるのだ。

 

 

 2年生に進級したら、家庭基礎で習うと思うが、食品によって含まれるタンパク質は当然違う。どうせなら、ヒトの体内で利用しやすいタンパク質を含む食品を摂った方が効率がいい。そのために用いられるのが「アミノ酸スコア」という評価方法だ。運動部で筋トレしているんだけど、なかなか筋肉がつかない、という人はぜひ食生活、さらに言えば、食事のタイミングを見直してみてほしい。もちろん、牛肉ばかり食べていればいい、というわけではないけれど…。

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    czytaj dalej (金曜日, 17 11月 2017 23:11)

    Grzegorowski